NHK「病の起源」第1集 睡眠時無呼吸症〜石器が生んだ病〜

[NHK「病の起源」第1集 睡眠時無呼吸症〜石器が生んだ病〜]


生きていくために欠かすことの出来ない呼吸が睡眠中に停止する睡眠時
無呼吸症。
豪快なイビキが突然止まり、30秒から1分ほどの呼吸停止による沈黙の後、
窒息を回避しようとイビキとともに呼吸を再開する。
一晩に数百回もの呼吸停止を繰り返すにもかかわらず、本人はほとんど気付か
ない。


睡眠時無呼吸症は、最近の研究から心臓病や脳卒中など様々な合併症を引き
起こしていることが明らかになってきた。

睡眠時無呼吸症が重症の場合、治療せずに放置すると12年後には35%が
心臓病や脳卒中などを発症すると言う調査結果もあり、私たちの健康に
計り知れない影響を与えている。


睡眠時無呼吸症は、自然界の動物には起こらないと言われ、ヒトだけがなぜか
患ってしまう病である。
ヒトは独自の進化の過程で、無呼吸症を起こすのどを獲得していたのである。

しかし無呼吸症になる宿命を負った一方で、ヒトには重要なメリットが
もたらされていた。
それは言葉の獲得である。
言葉のおかげで、人類は文化や文明を高度に発展させ、地球史上類ない存在に
なった。


番組では、睡眠時無呼吸症がなぜ起きるのか、そして進化の過程でヒトの体に
一体何が起きたのか、最新の研究成果に基づいて数百万年前の人類の姿と
暮らしの様子を映像化し、壮大な進化の中に睡眠時無呼吸症の起源を探って
ゆく。


(案内役 樹木希林さん)



[出典]
NHK「病の起源」第1集 睡眠時無呼吸症〜石器が生んだ病〜
http://www.nhk.or.jp/special/onair/080413.html


[キーワード]
睡眠時無呼吸・舌根沈下・顎の小型化・石器使用


—————————————————————————-

番組では、石器の使用で軟らかい食事を摂ることが可能になり、
軟らかい食事が顎を小さくし、小さい顎は舌の居場所を狭くし、
舌根が沈下し気道を狭窄し、睡眠時無呼吸を引き起こしたと
推測しています。

米国では、顎を大きくする矯正治療が増えつつあると報告して
います。
歯並びが悪いと、その理由が上顎前突(出っ歯)であれ、反対
咬合(下顎前突・受け口)であれ、叢生(凸凹)であれ、
ほとんどのケースで抜歯矯正が行われてきました。
しかし、抜歯矯正では顎が小さくなるので、舌の居場所が狭く
なり、舌根が沈下し気道が狭窄するため、睡眠時無呼吸になり
やすくなります。
抜歯矯正が原因と思われる睡眠時無呼吸症例では、顎を大きく
する矯正治療が必要だというのです。


(横山歯科医院・横山哲郎)


—————————————————————————-


少し前、日本の睡眠研究者が睡眠時無呼吸の研究を米国の
医学誌に投稿したところ、ほとんど採用されなかったとの
ことです。
理由は、「それほど太っていない人が睡眠時無呼吸を発症する
はずがない」「データの捏造に違いない」だったそうです。
それでも、次々に論文が送られて来るのを不思議に思った
調査団が日本にやってきてビックリ仰天。
米国人の場合相当太らないと発症しない睡眠時無呼吸ですが、
日本人は少し太めでも、或いは標準体形でも発症しうるのです。

それは、日本人が短頭形でつぶれた顔面構造をしているため、
顎の奥行きも短く、舌の居場所が狭く、舌根が沈下し気道を
狭窄し、睡眠時無呼吸を引き起こしやすい民族だからです。


[出典・参照]日本睡眠学会


(横山歯科医院・横山哲郎)


—————————————————————————-


加齢とともに、咬耗によって咬合高径は低くなります。
また下顎左右の犬歯間距離も小さくなることがわかってきて
います。
顎関節もやや小さくなります。

さらに、入れ歯の場合、新しい入れ歯を作る際に、前の入れ歯
よりも若干低く作った方が違和感を訴えることが少ないため、
咬合高径は低くなりがちです。

噛み合わせが低くなれば、
・いびきや睡眠時無呼吸を発症しやすくなります
・顎関節症を発症しやすくなります
・噛みしめ・呑気症候群:卵が先か鶏が先か状態
・歯列接触癖TCH:卵が先か鶏が先か状態



・元々噛み合わせが低い歯並び「過蓋咬合」
・下顎が後退した「小顎症」や「下顎後退を伴う上顎前突」
・一部の抜歯矯正
これらも、上記項目と極めて関連が深いと言えましょう。


(横山歯科医院・横山哲郎)


————————————————–





カテゴリー: いびき症/睡眠時無呼吸症, か噛み合わせ(咬合), せ生理学, は発声・構音・構語 タグ: , パーマリンク