「ハミガキ王子」3つの極意

[ハミガキ王子 3つの極意] (読売新聞  2007年8月31日)(元東京医科歯科大学臨床教授エッセイ) 昨夏の甲子園で優勝し、今春、早稲田大学に移ってからは、陰り気味だった 大学野球の人気を一気に回復させてしまった「ハンカチ王子」。 今年の男子プロゴルフツアーを15歳で制し、さわやかさで売った「ハニカミ 王子」、とかく世間はヒーローを待ち望んでいるようだ。 そうであるならば私たちも負けてはいられない。 息さわやかな、多くの「ハミガキ王子」を作り出さなくては。 ただ、ハミガキ王子になるにはいささか工夫がいる。 「厚生労働省が行った歯科疾患実態調査(2005年)によれば、1日2回以上 磨く人が既に70%を超えていることが報告されている。 しかし、歯磨きにどれくらい時間をかけているかについては触れられて いない。 私が患者さんに聞いたところでは1〜2分、長くて3分である。 歯は28本、歯と歯茎の境目、隣の歯との間に隠れた細菌の固まり(プラークと 呼ぶ)をすべて除去しようとすると、残念ながら2〜3分では十分ではない、 少なくとも10分は必要だと私は考えている。 しかし、10分というのはいかにも長いので、それを克服するための私の極意を 特別に伝えよう。 <極意その1> まずは歯ブラシには何もつけない。 つけないでブラシだけで掃除をするのである。 歯磨き剤をつければすぐに泡だらけになり、うがいをしたくなる。 うがいをすれば歯磨きが終わりで、これだと3分持てば良い方である。 <極意その2> 歯磨きを洗面所で行わない。 大体、洗面所というのは、普通の住居ではあまり恵まれた場所に あるとは言えない。 昔ほど悪くないとは言うものの、冷暖房が完備して、南向きの明るい、快適な 空間というのは少ない。 でも、歯磨き剤をつけなければ、泡だらけにならないのだから、歯磨きを 洗面所で行う必要がない。 そこで、自分の好きな、快適な空間でするのがよい。 ある人は居間で、ある人はバスルームで、そして好きならばトイレでなんて ことも可能である。 <極意その3> それでも歯磨きだけで10分は、さすがに私でも疲れてしまう。 そこで「ながら磨き」である。 つまり、退屈な歯磨きタイムを紛らわせるために、テレビを見ながら、好きな 音楽を聴きながら、あるいは明日の仕事の資料に目を通しながら、歯磨きを 行うのである。 まあ、10分もやっていれば、舌で触ってもほとんどヌルヌル感覚はなくなる。 そこで、やおら立ち上がって洗面所に行き、いつも通り歯磨き剤を歯ブラシに 乗せて、1〜2分、歯磨き剤の有効成分が歯に行き渡るようにすればよい。 さあ、これであなたも「ハミガキ王子」。 明日からは、もう口が臭いだの、おじん臭いなどと言わせない。 人前で堂々と振る舞うことも可能です。 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/karadaessay/20070831-OYT8T00172.htmNo tags for this post.
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