耳管開放症・・・・・多くは急激な体重減少が原因

[耳管開放症の治療法] (朝日新聞 2007年3月20日) 〜多くは急激な体重減少が原因。体重、体調の調整も肝要〜 (神尾記念病院検査部長 工藤伸幸先生) <漢方薬以外に治療法はないといわれたが、本当か?> 耳管とは鼓膜の内側(中耳腔)と鼻の奥(上咽頭腔)をつないでいる管の ことで、鼓膜の内側と外側の気圧を調節し、その張り具合を適切に保つ役割を 担っています。 通常、耳管は閉鎖されており、口蓋帆張筋という筋肉の働きで開くように なっていますが、この筋肉は飲み込む動作にしたがって働くので、高い山に 登って耳がツーンとなった場合などは、唾を飲み込むともとに戻るのです。 しかし耳管開放症では耳管が開きっ放しになっているので、息を吸ったり 吐いたりするだけで上咽頭腔の圧が変わり、鼓膜の内側に空気がでたり 入ったりしてしまいます。 典型的な耳管開放症では、呼吸につれて、鼓膜がふくらんだりへこんだり する様子を観察できるほどで、そうなると耳がつまった感じがしたり、 シューシューと空気が通り抜けるような耳鳴りが生じてしまいます。 <耳管の周囲がやせ耳管が広がってしまう> 耳管開放症の原因ですが、もっとも多く見られるのは、急激な体重減少による ものです。 耳管周囲の組織がやせてしまうことで、耳管が広がってしまうのです。 また、疲れや睡眠不足、女性であれば妊娠を契機にこうした症状が現れる こともあります。 治療は、やはりむずかしいといわざるを得ません。 理論的には耳管開口部付近をわざと傷つけるような処置をしたり、手術で 狭くすればよいのですが、狭くしすぎると、耳管が開かなくなり、今度は 耳管狭窄症という別の病気を発症してしまいます。 といって十分に狭くすることができなければ、開放症の症状も改善しません。 開いている穴をふさいだり、ふさがっている穴を広げるのは簡単ですが、 ちょうどよくふさぐというのは、とてもむずかしいことなのです。 結果として、対症療法に頼らざるを得ないのが現状です。 鼓膜が動いてしまうことが不快感の一因ですから、鼓膜にテープを貼り、 補強するといった鼓膜の動きを制限するような処置を施します。 そのほか、鼓膜に穴を開け、耳管を通じて入ってきた空気を鼓膜経由で外に 逃がすという方法もあります。 ただし、そうした治療では、鼓膜の動きを抑えることはできても、耳管の中を 空気が通り抜ける音までは消すことができません。 <ゆっくりと時間をかけてもとの体調にもどす> 疲れや睡眠不足といった体調不良が原因であれば、加味帰脾湯などの漢方薬も 有効でしょう。 また、耳の後ろの骨をグリグリとマッサージすることで症状が改善することも あります。 急激な体重減少が原因であれば、しばらく様子を見ることです。 減ったぶんの体重をもとにもどすか、あるいは体重がそれ以上減らないように 維持していれば、日常生活に必要な組織は自然に回復してくるはずだから です。 そうなれば、耳管の閉鎖も行われるようになり、耳鳴りや閉塞感といった 症状も改善されるに違いありません。 あせらず気長に、損なわれたからだのバランスがもとどおりになるのを待つと いうのも治療法の1つです。 http://www.asahi.com/health/soudan/jhealth/TKY200702280282.htmlNo tags for this post.
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