狂犬病とは

[狂犬病]

(Wikipedia)


狂犬病は、狂犬病ウイルスを病原体とするウイルス性の人獣共通感染症で
あり、ヒトを含めたすべての哺乳類が感染する。

毎年世界中で約5万人の死者を出している。

水などを恐れるようになる特徴的な症状があるため、恐水病または恐水症と
呼ばれることもある。
実際は水だけに限らず、音や風も水と同様に感覚器に刺激を与えて痙攣等を
起こす。


日本では、感染症法に基づく4類感染症に指定されており、イヌなどの
狂犬病については狂犬病予防法の適用を受け、ウシやウマなどの狂犬病に
ついては家畜伝染病として家畜伝染病予防法の適用を受ける。


日本では咬傷事故を起こした動物は狂犬病感染の有無を確認するため、捕獲後
2週間の係留観察が義務付けられている。
係留観察中の動物が発症した場合は直ちに殺処分し、感染動物の脳組織から
蛍光抗体法でウイルス抗原の検出を行う。


通常、ヒトからヒトへ感染することはないが、角膜移植や臓器移植による
レシピエント(移植患者)への感染例がある。



<症状>
潜伏期間は咬傷の部位によって大きく異なる。
咬傷から侵入した狂犬病ウイルスは神経系を介して脳神経組織に到達し発病
するが、その感染の速さは日に数ミリから数十ミリと言われている。
したがって顔を噛まれるよりも足先を噛まれる方が咬傷後の処置の日数を
稼ぐことが可能となる。
脳組織に近い傷ほど潜伏期間は短く、2週間程度。
遠位部では数か月以上、2年という記録もある。

前駆期には風邪に似た症状のほか、咬傷部位にかゆみ(掻痒感)、熱感などが
みられる。

急性期には不安感、恐水症状(水などの液体の嚥下によって嚥下筋が痙攣し、
強い痛みを感じるため、水を極端に恐れるようになる症状)、恐風症(風の
動きに過敏に反応し避けるような仕草を示す症状)、興奮性、麻痺、精神錯乱
などの神経症状が現れる。
また、腱反射、瞳孔反射の亢進(日光に過敏に反応するため、これを避ける
ようになる)もみられる。

その2日から7日後には脳神経や全身の筋肉が麻痺を起こし、昏睡期に至り、
呼吸障害によって死亡する。


なお、典型的な恐水症状や脳炎症状がなく、最初から麻痺状態に移行する
場合もある。
その場合、ウイルス性脳炎やギラン・バレー症候群などの神経疾患との鑑別に
苦慮するなど診断が困難を極める。
いずれにせよ、死亡に至る。



<ミルウォーキー・プロトコル>
発症後の死亡率はほぼ100%で、確立した治療法はない。

記録に残っている生存者はわずか6人のみで、そのうち5人は発症する前に
ワクチン接種を受けていた。

2004年10月、アメリカ合衆国ウィスコンシン州において15歳少女が狂犬病の
発症後に回復した症例がある。
これは発症後に回復した6番目の症例であり、ワクチン接種無しで回復した
最初の生存例でもある。
この際に行われた治療はミルウォーキー・プロトコルと呼ばれており、
治療法として期待されているが、回復に至らず死亡した事例もあり研究途上で
ある。

近年ではこの治療法により10歳のアメリカ人少女、また2008年10月、
ブラジル・ペルナンブーコ州の16歳の少年が歩行困難と発語困難により
依然として治療を続けているものの回復に至る。

これまでミルウォーキー・プロトコル治療は全世界で16名に対して
行われたが、現在の成功症例はこの3人のみである。





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