アフリカ睡眠病とは

[アフリカ睡眠病]

(Wikipedia)


アフリカ睡眠病は、ツェツェバエが媒介する寄生性原虫トリパノソーマに
よって引き起こされる人獣共通感染症である。

病状が進行すると睡眠周期が乱れ朦朧とした状態になり、さらには昏睡して
死に至る疾患であり、これが名前の由来となっている。

アフリカのサハラ以南36か国6千万人の居住する領域における風土病で、
感染者は5万人から7万人と推計されている。

催眠病、眠り病、アフリカトリパノソーマ症とも呼ばれる。



<疫学>
サハラ以南36か国で見られており、ウガンダ南西部とケニア西部では風土病と
なっており、年間4万人が死亡している。
6,000万人が感染のリスクにさらされており、毎年30万人が新たに感染して
いると考えられていたが、新規患者数は減りつつあり2007年には1万人
ほどになった。


ツェツェバエが媒介するため、ツェツェバエの生息地が流行地となりやすい。
しかしツェツェバエが生息していても流行の見られない土地もあり、その
理由はよくわかっていない。
農業・漁業・牧畜・狩猟などをして田舎で暮らす人々はツェツェバエに刺され
やすく、したがって罹患しやすい。
流行地は往々にして遠隔地であり、医療体制が脆弱である。
流行は集落に留まる場合から地域全体に広がる場合まであり、また地域の
なかでも集落ごとに流行の程度に差があるのが常である。
集団移住、戦争、貧困などが伝染を増やす主な要因である。



<症状>
初めは発熱・頭痛・関節痛といった症状が認められ、原虫が循環系に広がるに
つれリンパ節が大きく腫れ上がる。
首筋の背中側のリンパ節が腫脹するWinterbottom徴候が認められる場合が
ある。
これを放置すると、次第に感染者の生体防御機構をくぐりぬけ、貧血や
内分泌系・心臓・腎臓の疾患を示すようになる。
以上が第1期であるが、病原体がガンビアトリパノソーマである場合には
症状に気付かぬまま過ごしてしまう場合も多い。

第2期では、原虫は血液脳関門を通過して神経疾患を引き起こす。
まず神経痛が認められ、錯乱や躁鬱のような単純な精神障害が現れる。
次いで睡眠周期が乱れて昼夜が逆転し、昼間の居眠りや夜間の不眠となる。
そのうち常に朦朧とした状態になり、さらには昏睡して死に至る。
この時期の症状がこの疾患の名前の由来となっている。

治療しなければ致命的であり、第2期には治療したとしても不可逆的な
神経傷害を受けることがある。





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