怖い歯周病菌 全身疾患に関連 免疫落ちると悪影響

[怖い歯周病菌 全身疾患に関連 免疫落ちると悪影響]

(共同通信社 最新医療情報)


歯を大事にする人が、やはり長生きするようだ。
口内には虫歯を起こす菌をはじめ、多くの細菌がいるが、中でも歯周病の
原因となる細菌が全身疾患に関与している証拠が、最近になって示され始めて
いる。

「歯周病になると、菌が歯周炎を起こした歯肉から血液に入りやすい状態に
なる。歯周病菌は強い病原性を持つわけではないが、体が弱ってくると
全身疾患の原因となる可能性が考えられる」と東京歯科大の石原和幸助教授
(微生物学)は話す。



<500種類の菌>
既に明らかな虫歯菌や歯周病菌の影響としては、心臓の人工弁をつけた人が
抜歯などの治療を受けた時に起こしやすい心内膜炎がある。
血流が弁の所でうまく流れにくいため、体内に入った菌が感染して炎症を
起こしやすいからだ。

血液を通じてではないが、高齢者ではだ液や食物をのみ込むときに嚥下反射が
うまくいかず、口内細菌が誤って気道に入ってしまい誤燕性肺炎を起こす
場合がある。

「口内には約500種類の菌がいる。歯周病菌は一部にすぎないが、プラーク
(歯垢)に居ついて歯周炎を起こす」(同助教授)。

歯周病菌は、歯をよく磨かないままプラークが増えると増加する。
酸素を嫌う嫌気性なので特に歯肉溝(歯と歯肉の間の溝)に入り込んでいる
プラーク中の酸素の少ない所で増える。



<骨も溶かす毒素>
歯周病は歯周病菌が起こす歯の感染症だ。
しかし、歯周病菌がいると、すべての人が歯周炎になるわけではない。

歯周炎が起こるには、その人の免疫力や生活習慣などが複雑に絡んでいる。

歯周炎は歯を支える組織までがやられてしまう状態。
歯周病菌は長い期間をかけて病気を起こす。

菌の増加とともに口臭がひどくなり、歯肉の腫れや出血などの症状が現れ、
進行すると歯を支える骨も溶けて歯を失ってしまう。

歯周病菌は、菌の細胞膜自体に毒素を持ち、歯周病菌が増えるとともに毒素の
影響が出る。
毒素は歯肉の炎症とともに、TNFアルファなどの生理活性物質を介して骨を
溶かす作用もあり、弱いがやっかいな存在だ。

さらに歯肉溝のところで炎症が起きていると、ちょうど傷が開いたままに
なっているようなもので、歯周病菌が血中に入りやすく
なる。
全身疾患に結び付く可能性は十分考えられる。



<動脈硬化を起こす>
最近、高脂肪食で飼育し、動脈硬化を起こしやすくしたマウスに、歯周病菌を
経口で感染させると、大動脈での動脈硬化が起きることが確認された。

歯周病菌が血管内に入り、動脈硬化を起こしつつある部位に来た場合、菌が
さらにその進行を促進したり、血小板に作用して、血を固め、血栓をつくる
可能性も指摘されている。

「人ではまだ証明されていないが、動物実験では心血管疾患を促進することが
示されてきている。人でも、歯周病菌が心血管疾患の発症に寄与している
可能性がある」(同)。


老人保健施設などにいる高齢者では、口内を清潔に保つオーラルケアを実施
した方が発熱など、体調が崩れる率が減ることも報告されている。

石原助教授は「歯周病菌の感染を防ぐには、菌を増やさないように、
ブラッシングなどで歯と歯肉の間のプラークを除去し、酸素の嫌いな
歯周病菌が歯の周りにすみつきづらい環境にしておくことが大事」と話して
いる。



http://www.47news.jp/feature/medical/news/1028ha.html




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